
園長便り2024-18
2025.01.31
「チャレンジ精神」
園長:中村貫太郎
本園の園児に限らず、最近の子どもたちを見ていると、新しいことにチャレンジしない子どもの割合が多くなっているように感じます。脳科学者の西剛(にしたけ)志(ゆき)さんが書かれた記事によれば、最も大きな原因のひとつは「ほめられるだけの教育」にあるそうです。
2016年に日本人1万人を対象とした研究では、何でも挑戦しようとする「前向きな性格」は、「ほめるだけ」の親に育てられた子どもよりも「ほめる+叱る」親に育てられた方が3~10倍以上高くなったそうです。例外はあるでしょうが、統計学的には、ほめるだけではチャレンジ精神は育まれにくいということがわかってきたそうです。
また海外の研究でも、子どもに問題を解かせた後、成績をほめるグループとほめないグループを調査したところ、ほめられたグループは難しい事にチャレンジしなくなる傾向が強くなったそうです。「頭がいい」と能力をほめられると「頭がいい=問題ができる」という状態を維持するために確実にできる簡単な問題ばかりに取り組み、難しい問題にはチャレンジしなくなったということでした。その後、ほめ方を工夫していくと、努力をほめたグループには、難しい問題にチャレンジする傾向がみられるようになったそうです。
記事の最後は『環境変動やAIによる高度情報化など、これまでの常識が覆されていく時代では、チャレンジを恐れる「ニセの自己肯定感」ではなく、「本物の自己肯定感」が必要となってきます。そのためにも、私たち大人が、正しいほめ方を学び、共有していくことが大切です。』という言葉で締めくくられていました。一人ひとりの成長に必要な、援助となる言葉をかけられるよう、心がけていきたいものです。(私幼時報12月号参照)