
園長便り2025-04
2025.05.23
「ライラック」
園長:中村貫太郎
園庭のライラックが綺麗な花を咲かせました。先週は大通公園でも「さっぽろライラックまつり」が始まり、初夏の訪れを感じさせてくれています。
ライラックは1960年に、札幌市の木に選ばれたモクセイ科の落葉小高木です。1955年に札幌を訪れた歌人の吉井勇は「家ごとに リラの花咲き札幌の 人は楽しく生きてあるらし」(※リラはライラックのフランス名)と詠んでおり、北海道では古くから親しまれてきました。その香りにはリラックス効果があるとされ、香水やアロマオイルにも利用されています。道民の認知度は100%とも言われており、北海道では非常にポピュラーな花ですが、暑さに弱いため、栽培の南限は関東地方あたりとされています。そのため西日本ではほとんど見かけることがなく、あまり知られていないマイナーな花だそうです。
ですが昨年4月に、Mrs. GREEN APPLEというバンドが「ライラック」という楽曲をリリースし、日本中にその名前が広まりました。この楽曲はオリコン史上初の通算31週目の週間再生回数1000万回超えを記録し、年末には日本レコード大賞を受賞しました。多くの人に聞かれたことで、日本中の人がライラックの名を覚えたのではないかと思います。
日本で最初にライラックが植樹されたのは、1879年に函館公園の開園を記念して、函館英国領事だったリチャード・ユースデンの夫人が、イギリスから取り寄せたものだそうです。札幌のライラックは、北星学園の創設者であるサラ・クララ・スミス女史が、アメリカから携えてきたものが起源だといわれています。和名はムラサキハシドイで、花言葉は「思い出」「友情」などが一般的で、紫色のものには「恋の芽生え」「初恋」といった意味も込められています。葉がハートの形をしていることから、若き日の友情や恋愛を連想させるものが多いそうです。
ライラックまつりは週末に最終日を迎えますが、園庭の草花とともに、園児たちにもこの季節ならではの自然の美しさや、心に残る思い出が育まれていくことを願っています。