園長便り2025-20
2026.02.27
「助け合い」
園長:中村貫太郎
園庭を覆っていた雪山も日に日に低くなり、雪解けが進んだことを実感する頃となりました。朝夕はまだ冷え込みますが、やわらかな日差しに包まれる時間が増え、少しずつ春が近づいてきたことを感じます。
春といえば、PHPという小冊子の2月号に「ハルウララ」という競走馬について触れられた記事がありました。約20年前、現役時代に一度も勝利することなく113敗で引退した馬ですが、小さな体で懸命に走る姿に多くの人が心を動かされ、ニュースでも取り上げられるほどの大ブームとなりました。武豊騎手が騎乗した際には、地方競馬場に1万3千人もの観客が訪れたそうです。勝利という結果ではなく、その存在そのものが多くの人の励ましとなったのです。
一大ブームを巻き起こしたハルウララですが、引退後はさまざまなトラブルに見舞われ、各地を転々としてきたといいます。しかし、千葉の房総半島にある小さな牧場に引き取られてから亡くなるまでの12年間は、多くの人々の善意や寄附に支えられ、穏やかな余生を過ごすことができたとのことでした。支え合う思いが大きな力となることを改めて教えられます。
この冬、雪道でスタックした車を近隣の住人が助けている姿を、何度も目にしました。スコップを手に駆け寄り、声を掛け合いながら車を押す様子は、厳しい寒さの中にあっても温かな光景でした。見返りを求めることなく、困っている人を自然に助ける姿に、心を打たれます。
園生活の中でも、子どもたちは小さな助け合いを重ねています。転んだ友だちにそっと手を差し伸べる姿、困っている子に「だいじょうぶ?」と声をかける姿。その関わりの一つひとつが心の成長の糧となり、やがて大きな優しさへと育っていくことでしょう。