園長便り2025-16
2025.12.12
「子は親の鏡」
園長:中村貫太郎
子どもたちの遊ぶ様子を見ていると、率先して落ち葉を集めて掃除してくれたり、友だちが困っているときにそっと手を差し伸べたり、「こうしてみたら?」と新しい遊び方を提案したりして、相手を助けようとする姿に出会うことがあります。そのような優しさや思いやりは、いったいどこで身につけたのでしょうか。

「百聞は一見に如かず」ということわざがありますが、一般的に「人は情報の80%を視覚から得ている」といわれています。語彙力がまだ十分でない幼児期は、特にその傾向が強いと考えられます。幼児の学びは「見てまねる」ことを中心に始まります。「学ぶ」という言葉は昔「まねぶ」といわれ、「まねる」と同じ意味をもっていたそうです。
かつてのパソコンは、真っ黒な画面にキーボードでコマンドを入力しなければ操作できず、扱える人は限られていました。しかし現在では画面を見て直感的に操作できる機器が増え、説明しなくても幼児はタッチしながら自然と使い方を覚えていきます。これは、幼児が視覚から得た情報をもとに、試しながらまねていく力が強いことを示しているのではないでしょうか。

また、「子は親の鏡」という言葉があります。幼児は身近な大人の姿をよく観察し、その行動をまねることで多くの大切な力を身につけていきます。あいさつをすること、順番を守ること、人にやさしく接することなど、家庭で見ている大人のふるまいを手本に自然と育っていきます。つまり、子どもが友だちにそっと手を差し伸べる優しさや思いやりは、日々そばで接している大人の姿を見て育まれたものだといえるでしょう。子どもの親切な行動の根底には、親や身近な大人の存在がしっかりと息づいているのです。
