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園長便り2025-08

2025.08.25

「成長点」
園長:中村貫太郎

今年は暑さと雨不足の影響で、例年よりも農作物の収穫量が減るとニュースで報じられていました。7月の降水量は平年の6割余りにとどまり、園庭の芝生も枯れかけていました。スプリンクラーで水を撒いても暑さのせいで弱っていましたが、8月に入ってからのまとまった雨のおかげで、どうにか息を吹き返しました。

芝生が枯れてしまう原因には、水不足の他に「軸刈り」があります。軸刈りとは、芝刈りの際に芝を低く刈りすぎて、成長点を傷つけてしまうことです。芝刈り機の高さが一定でも、地面には凹凸があるため、思わぬところで成長点を傷つけてしまうことがあります。芝刈りをしなければ傷つけることはありませんが、芝が伸びすぎると根元に太陽光が届かず、光合成がうまく行われなくなります。さらに、風通しが悪くなることで病害虫が発生しやすくなり、それもまた枯れる原因となります。

適切な芝刈りは芝の生育を促し、根を丈夫にし、密度を高めてくれます。芝の密度が高まれば、雑草が入り込む隙間も減り、除草の手間も少なくなります。また、風通しも良くなるため、病害虫の発生を抑えることにもつながります。芝刈りは見た目を美しく保つだけでなく、芝生の健康を維持するためにも欠かせない作業なのです。

この芝刈りの話は、子育てにも通じるものがあるように感じます。たとえば、芝刈りは「しつけ」にあたるのではないでしょうか。生活習慣や礼儀、社会のルールを教え、身につけさせることは、単に見た目を整えるために型にはめることではありません。芝刈りと同様に、子どもが健やかに育ち、自立して幸せに生きていくための土台をつくる行為なのです。

芝生の成長点の高さに違いがあるように、子どもの成長点も一人ひとり異なります。だからこそ、それぞれの成長段階に応じた方法で、愛情を持って丁寧に接することが大切です。